今この世に
哀しい宿命を背負ってしまった子供が・・・
子供達が生まれた。



【共鳴】



奈良一族の屋敷の奥で今子供が誕生した。

「産まれたぞ」
「闇神(やみがみ)様だ」
「これでまた一族は安泰だな」
「ヨシノ・・・お疲れ様」

今無事出産を終えたヨシノの元にシカクが近づく。

「あなた、子供は?私の子供はどこなの?」

ヨシノの言葉にシカクは顔を顰める。

「??あなた?私の子供は何処なの?早く抱かせて頂戴」

ヨシノは出産を終えたというのに未だに自分の子供を抱き上げていなかった。

「・・・・すまねえ。子供は・・・いや子供達は長老達が別の部屋で見ている」
「子供・・・・達?」
「ああ、子供達だ」

シカクの言葉に引っかかったヨシノは言葉を繰り返して確認する。

「お前が産んだのは双子だ」
「っ!!」

ヨシノは自分が双子を産んだことに息を詰める。
双子それはすなわち闇神を・・・否、闇神の力を持って産まれるという子供を産んだという事実。
ヨシノは驚愕に目を見開きシカクの顔を見る。
その顔に嘘がないとわかるとヨシノは興奮し始めた。

「うそよ・・ちがうわ・・・私の子達はそんな力もってないわ。だから二人とも返して頂戴。あなたからも長老達に言って下さい」

ヨシノはシカクに縋り付くようにして言葉を告げる。

「いやよ・・・いやああああああ!!今すぐ私の子供達を返して!!!」

ヨシノは髪を振乱し涙を流しながら暴れだす。
それを慌てて止めようとしたシカクの両腕にヨシノは手を伸ばすとその腕を力一杯握り締める。
その手に込められた力はどんどんと強くなっていくが自分が何も出来ないことを知っているので甘んじてこの痛みを受け入れる。
ヨシノは暫くの間シカクの腕の中で暴れていたが突然立ち上がろうとする。

「!!寝てないと駄目だ!」

シカクはヨシノの身体を布団の上に押さえつけるようにして寝かせる。
しかしヨシノの目に正気の光が消えておりブツブツと独り言を繰り返しているその姿を見ると、シカクはこれ以上ヨシノの自我が崩壊する前に術で無理矢理眠らせる。
眠ったヨシノの身体に布団をかぶせるとシカクは部屋を出る。そして覚悟を決めると子供達と長老達のいる部屋へと歩き出した。
部屋に着くとシカクは思い切って声を掛ける。

「長老方」
「おお、シカクか。お主の細君はよくやってくれた」
「闇神様の誕生だ」
「めでたい」

シカクが部屋に入ると長老達は次々とヨシノのことを褒め始める。だがしかしそれは決してシカクとヨシノに向けての祝いの言葉でないことは確かである。
シカクは決然とした顔をすると長老達に問いかける。

「長老方にお願いが御座います」
「何じゃ」
「はい。一度でいいので妻に子供達を抱かせていただけませんでしょうか?」

シカクの申し出に祝いの言葉を発していた長老達は一同に渋い顔になる。

「ならん。闇神様を見極めるまで会わすことはできん」
「そのとおりじゃ」
「で、ですがこのままでは妻の精神が壊れかねません」
「うむ。ならばいっそのこと子供を産んだことという記憶を消してはどうじゃ」
「おお、それは良い考えじゃ」
「なっ!!何をおっしゃるのですか!」

長老達の突飛もない考えにシカクは愕然とする。
シカクが黙ってしまったことをいいことに長老達は早速そうするように話を持っていこうとすることに気付きシカクは怒りで頭の中が白くなっていき思わず長老の一人を殴ろうとした瞬間、今まで大人しく眠っていた子供が泣き始めた。
その泣き声にシカクは我に返ると自分の行動を止めてくれた子供の泣き声に感謝する。
長老の一人の老婆が慣れた手つきで子供をあやし始めたが一向に泣き止まない。
それどころかもう一人の子供も共鳴するかのように泣き始める。
慌てて泣き止むようにあやすが泣き止むどころか泣き声はますます大きくなっていく一方だった。
二人のうちのどちらかが闇神ということで乱暴に扱うことも出来ず必死で宥めるが一向にその効果は現れなかった。
シカクは泣き叫ぶ我が子を見ていられず駆け寄り老婆から子供を奪い取るように抱きかかえる。
すると、先程までどうやっても泣き止まなかった子供がピタリと泣くのを止めじっとシカクの顔を見ている。
もう一人の子供もシカクの腕に抱かせるとこちらも泣き止みシカクの顔を見ている。
シカクはそのことに少し困惑したが自分が抱いたことによって泣き止んだ我が子を見てほっと一安心して子供達を見ると子供達は同時にニパっと笑った。
それを見た老婆がもう大丈夫だろうと思いシカクの手から子供を抱き上げると笑っていた子供は徐々に泣き顔になりまた盛大に泣き出す。
しかしシカクの腕に戻すと泣き止む。
この事態に長老達は苦虫を噛み締めたような顔をしている。

「長老方。申し訳ありませんがこの子等を妻の所に連れて行き乳を飲ませて参ります」

シカクは子供達を腕に抱きそのまま部屋を出て行く。
後には忌々しそうに見ている長老達が残った。
子供達を抱えてヨシノの部屋に戻ると術で眠っていたはずのヨシノはうっすらと瞳を開けて起きていた。

「ヨシノ。お前の子供達だ」
「ああ、あなた。ありがとう」

シカクはそう言うと子供を一人ヨシノに渡す。
ヨシノはやっと我が子をこの腕に抱けたことに涙を流す。
もう一人の子を抱えたままシカクはヨシノの隣に座る。

「名前は決めたのか?」
「ええ、この子が『シカヤ』でその子が『シカマル』」

ヨシノが名前を付けた途端に子供・・・シカヤに変化が起きる。
突然チャクラが溢れ出す。
それを見たシカクとヨシノは驚愕の眼差しでシカヤを見る。
二人が呆然としている所に長老が現れる。

「どうやら闇神様はそちらのシカヤの方のようじゃな」
「これより一族の掟によりシカヤの存在をないものとする」

突然言われたことに言葉も出ない二人。
そのうちに長老の一人がシカヤを奪い連れて行く。
今度は泣くこともなく大人しく抱かれていくシカヤを見ていることしか出来なかった。







                一年後

一歳になったシカマルに異変が起き始める。
何と闇神の力を持っていないと思われたシカマルのチャクラから闇神特有のチャクラが溢れ始めたのだった。
それに対するようにシカヤから闇神特有のチャクラがなくなっていく。
そのことに慌てふためいたのは長老達だった。
今までにこのようなことが起こったのは初めてのことであった。
長老達は話し合い、一つの結論を出した。

「これよりシカマルを闇神様とし、シカヤを『シカマル』として育ててもらう」

長老達はそう言うと子供達を取り替える。
これにより、シカマルは闇神として幽閉され
シカヤはシカマルとして表で生活することになった。






どこにいても
どこにいようとも
お互いが
いつでも
共鳴している










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あとがき
シカヤがシカマルとして
シカマルが闇神として生活することになった
過去の話です


隠れし者 管理人:夜那







鹿’S「「ありがとうございま(ー)す」」
蒼「あー 何処にでもいるよなー 何にも考えなしに動く古狸ってさー 臨機応変って言葉知らねーの?」
白「言葉が過ぎますね それに知るのではなく学べる程の知恵がないのですよ」(笑顔)
蒼・紫「『(言い切った?!)』」
蒼「あー うん シカクさん 流石だなー(視線を反らす)」
紫『流石ですよね ちょっと抱いた時戸惑うのが!!!!』
鹿’S「「そこか(ですか)?」」
紫『そこです!! ヨシノさんとか シカクさんが良い押しを!!』
蒼「紫架が壊れてるんでー えっと、まだまだ引き続きお楽しみ下さいッス」
白「次は・・・ ええ 素敵ですから」(ニッコリ)
紫『!? 終わったしぃぃっぃぃ!!! ってか、何でいるのさ?!』



以上、紫架でした?