その傷跡は
自分達にとっての戒めとなり
教訓となった
そしてお互いしか信じることが出来なくなったことの
始まりでもあった

【創痕(傷の跡)】

その時のオレはもうすぐ二歳になる頃だった。
自分の家の中を探検しそれが終わったので今は一族の屋敷を無断で探検している。
オレは好奇心の出るままにそこらじゅうを歩き回った。
するとどうしても一箇所だけ辿りつく事が出来ない場所があるのに気が付いた。
他の一族の奴らは気付いていないみたいにそこを素通りしていく。
オレはどうしてもその先に行ってみたくなり毎日のようにそのあたりをウロウロと歩き回っていた。

結界がはられているのはわかるんだけどな〜
それに幻術までかけてあるのか
一体この先に何があるのか楽しみだな

オレは両親と一族の目を盗んで片っ端から書物を読み漁っていく。
何か解除する方法とそこに何があるのか書いてあるのではと思って・・・
読み漁っていくと一冊の古い巻物に封印がしてあった。
直感的にこれだと思ったオレはその封印を解除する。
巻物を広げると今度は難解だと思われる暗号。
オレはその暗号を嬉々として読み解いていく。
二歳になっていないオレが封印や暗号が解けること
忍術も使えたりすることは両親にはもちろん
一族の奴らには秘密にしている。
もし、このことがばれたらきっと両親に迷惑がかかるということがわかっているからだ。


巻物の暗号を解読することに成功しそこに書かれていたことは
『闇神』というものについてだった。

『闇神は奈良の一族が出来た当初に突如として現れた。その闇神と一族のものは契約し一族のものを闇神に差出し闇神は一族に繁栄を約束した。しかし闇神に憑かれたものの生が終わると同時に闇神の力も一緒に終わった。その後一族に双子の子等が生まれる。その片方に闇神の力が宿っていることが続くことにより闇神の力は双子が産まれると同時にまた復活することを知った。その力は絶大で他の一族または里からも狙われ始めた。一族は力を自分達だけのものにするために今後双子が産まれた場合には闇神の力が宿っているものを里に報告しないこととする。これにより闇神の力は一族のみに振るわれる事となった。』

読み終えたオレは眉間に皺が寄るのがわかった。

なんだよこれ・・・
要するに一族のためだけに闇神の力を持った奴が
犠牲になってるってことじゃねえか
ふざんじゃねえよ
くそっ!胸糞わりぃ

シカヤはそのことに不快感を覚えた。

ちょっと待てよ
そうしたらオレがシカヤのはずなのに
シカマルって呼ばれるのにも関係しているのか
・・・・・・・・・・・・・・
もしかして!!

自分の考えが間違っていたらいいと思いつつも
その考えがあっているということが直感的にわかってしまう。
オレは巻物を放り出すとすぐにあの部屋へと向かった。
部屋があるあたりに着くと
先程読んだ巻物に書いてあった解術をする。
すると目の前に部屋の扉がはっきりと出てきた。
その扉をオレはゆっくりと押してみる。

どうやら鍵はかかっていないみたいだな

オレは扉を押し開き中を覗くようにして身体を部屋の中へと
徐々に入っていく。
その部屋は明り取りの小さい窓が一つあるだけの
暗闇といっていい程の暗い部屋だった。

「誰ですか?」

突然聞こえてきた声にオレは驚く。

!!誰かいたのか!?
でも気配がしなかったぞ

オレは大抵の気配ならそこらの忍に負けないほど
読むことが出来る。
そんなオレが声を掛けられるまで気付くことが出来ないほど
その人物は気配がなかったのだ。

「どちら様ですか?」

オレが驚愕に陥っているともう一度その人物の澄んだ声が
尋ねてくる。

「オレは・・・この一族の者だ」
「・・・・そうですか。それで一族の方が何の御用でしょう?」

大分目が慣れてきたオレはその声の人物に近づこうとゆっくりと
声を頼りに部屋の奥を目指して進んでいく。

「オレは・・・闇神について知りたい」

オレの答えにその人物は驚いたのだろう
一瞬だけ気配が洩れる。
その一瞬気配が洩れたことでオレは何処にいるのかがわかり
そちらに向かって迷いなく進む。
すると突然仄かな灯火がついた。
それはその人物が自分の近くにある蝋燭に火をつけたことによって周りが少し明るくなる。
部屋が明るくなったことによってオレは部屋の中を見渡す。
納得できるまで見渡した後部屋にいる人物を見ようと
正面を見る。
そこには長い闇色の髪と目をしている
オレと同じ年頃の子供がいた。
いやオレと同じ年頃どころか
鏡を見ているように瓜二つだ。

やっぱりあの巻物に書いてあったことは
本当だったのか・・・

オレは落胆したがどこか腑に落ちたようで
納得もしていた。

ああ、ここに自分の半身がいる
やっと会えた

オレはその人物こそがシカマルだとわかり
声を掛けようとしたその時
部屋の扉が開いて一人の一族の男が入ってきた。
その一族の男はオレがいることに驚いたのだろう
目を見開きこちらを凝視している。
オレが言い訳を口にしようと口を開く前に
男がものすごい形相となり
こちらに向かってきた。

ああ、怒られるんだろうな
それとも無理矢理部屋から出されるんだろうか
せっかく会えたのに・・・

このときのオレはまだ暢気に考えていた。
男がオレに迫ってきたと思った瞬間
刀を取り出して斬りつけようとする。
とっさのことにオレは動けずに男の動作を
見ていることしか出来なかった。

やられる!!

「化物共が!!死ね!!」

男がそう言うと刀を振り下ろした。
オレはそれを本能的に目を閉じてしまう。




ザシュッ!!

ヒュン

ゴトッ




オレが思っていたような痛みはなく恐る恐る目を開けると
先程の部屋にいた人物・・シカマルがオレの前に
庇うように立ち男は首を落として絶命していた。
床には血の池が出来始めていたが
シカマルの影が男の遺体と血を飲み込んだ。
部屋はオレが入ってきた時と同じ様な静寂に包まれていた。
呆然と見ているとシカマルの身体がオレの方に倒れてくる。
腕の中に抱きとめて見ると左肩から右腰に向けて
斬られていた。

オレを庇った時に!!
くそっ、なんでオレは動けなかったんだ
頭だけあっても意味がない
大事な人も守れないなんて・・・

「しっかりしろよ!」

オレは今まで積み込んできた医療術を使い
傷をふさいでいくが傷が深くオレの医療術も確かなものでは
なかったので傷跡がどうしても残ってしまった。

「・・なんで、庇った?」
「自分の半身ですからね」

オレは込み上げてくる涙を止めることが出来ずに
シカマルの顔に次々と大粒の涙を落とす。

「泣かないで下さい」

シカマルはそう言ってオレの涙を拭く。
この時オレは自分の半身が護れるだけの力が欲しいと
思うようになり必ず護ってみせると心に誓った。

「あなたがシカヤですね」
「ああ、そうだシカマル」
「「やっと会えた・・」」

自分の力が及ばないばかりに
とても大切な人を傷つけてしまった
自分の考えが足りないばかりに
とても大切な人に傷が残ってしまった

だからこれは
自分達にとっての戒めの傷跡
これからは
護れるように
護っていけるように
その傷跡を見るたびにそう戒める










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あとがき
ちょっと暗めですかね
シカヤとシカマルが会うことができました
お互い一目見たときに自分の半身だと確信を持ちました
この時のシカヤは頭はいいといっても
実戦経験がないような状態なので
反撃できませんでしたね


隠れし者 管理人:夜那






紫『ありがりがとうございました 夜那さま!!! 
   暗め!!!! もう、大好きです!! シカマルとシカヤ!!
     実戦経験の差が良いです!! 引き続きを!!と叫ばせて下さい』
  蒼「・・・ こんなアホに本当にありがとうございます・・・」(ため息)
白「ありがとうございます 本当に」(遠い目)
蒼「また 何か恵んでやって下さいねー」(ケラケラ)
白「蒼鹿・・・ 貴方も十分に紫架に・・・近いですよね・・・」(ため息)
蒼「そうかー?」
白「長らくお待たせしてスミマセンでした 夜那様 この様なアホばかりですが・・・」
蒼「アホって酷ーな 今度も投稿してやって下さいね」
鹿’S「「ありがとうござました」」
紫『締め括るな〜?! まだ、続きますから!! 夜那さまの世界を御堪能下さい!!』



以上、紫架でした!!