黒髪を頭上で一つに束ねた少年が
部屋の扉を開ける。
部屋には明り取りの小さい窓が一つ
天井近くにあるだけの薄暗い部屋だった。

【切れない繋がり】

その部屋の中を迷うことなく進んでいく。
少年が向かった先の陰になっている所に
気配を一切感じさせることなく
腰まである黒髪を毛先で一つに束ねている
少年が佇んでいた。

「シカマル」
「シカヤ、これから行くのですか?」
「ああ」

部屋に入ってきた少年は中にいた少年を『シカマル』と呼び
中にいた少年は部屋に入ってきた少年を『シカヤ』と呼んだ。
二人の少年の容姿は見事なぐらい同じだが
唯一その身に纏っている気配が違う。
シカマルとシカヤはお互い近づくと額をくっつける。

「今日は早く帰って来れそうだから」
「はい、気を付けて。草が不穏な動きをしていますので」
「わかった」

一度目を閉じ開ける。
二人は額を離しシカヤは扉に向かって歩き出した。
扉の前まで来るとシカヤはシカマルの方を振り返る。

「行ってくる」
「行ってらっしゃい」

そして、シカヤは外に出て下忍として任務に向かい
シカマルは薄暗い部屋に残った。
本日は7班と10班の合同演習。

「シカマルー!少しは動きなさいよー!!」
「はあ、めんどくせー」

シカマルと呼ばれたのは
先程の頭上で一つに髪を縛った少年
『シカヤ』だった。
同じ班のいのの言葉に内心愚痴が出てくる。

ったく、こっちは昨日の夜も
任務があって忙しかったて〜の。
ていうか、ここ何日かまともに寝てね〜気がするのは
オレの気のせいか?
オレの片割れは今頃この状態を感じて笑ってんだろうな〜。

シカヤはつらつらとそんなことを考えながら
『奈良シカマル』として動いている。
しばらく組み手をしていると
北の方から押し殺した気配が近づいてくるのを感じる。

あれがきっとシカマルが行く時に言ってた草の連中だろうな。
結構数いるがまあ大丈夫だろう。
第一シカマルは気を付けろって言っただけで
手助けしろとは言ってねえしな〜。

シカヤは上忍二人に気付かれる事なく
視線をやるがまだ気付いていないみたいだった。
それでも腐っても元暗部のカカシがシカヤに遅らせながらも気が付くとアスマに何やら小声で話した後
カカシが草の連中を倒すためだろうその場から消える。
カカシが消えたのを見届けるとアスマが下忍達に声をかける。

「お前等一度休憩するぞ」

下忍達は今までやっていた組み手を止めると
アスマの方に集まりだす。
休憩はもしこちらに草の連中が来た時の対処に
遅れないためのものだろう。
シカヤはそう思うと軽く誰にも分らないほど小さく
口の端を上げて笑う。
暫くするとカカシが戻ってきた。
それを見つけたナルトが騒ぎ出す。

「あー、カカシ先生ってばドコ行ってたんだってばよ!!」
「ん〜、ちょっとねv」
「ちょっとじゃわかんないってば!はっ、まさか・・・!?」

ナルトは言葉を区切って疑わしそうにカカシを見ると大声で叫んだ。

「さぼってたってばね?」

ナルトの言葉に一気に肩の力が抜けるカカシ。

「ナ〜ル〜ト〜。そんなわけないデショ!」
「えー、でも怪しいってばよ」

ナルトがまだ半分疑った目で見ていると
同じ班のサスケやサクラまで疑った目でカカシを見ている。

はたけ上忍信用ね〜な〜。
まあ、あれだけ毎日遅刻してりゃあな〜。
でもナルトの奴も気付いてたみたいだな。

シカヤはナルトが暗部で活躍しているのを知っていたので
自分も気付いて尚且つカカシが気付くくらいだから
当然気付いていたのだろう。
もっともナルトの方はシカヤ・シカマルのことを知らないが・・・。

ナルトが騒ぎ出したのを合図に
きっとこの後報告に行かなくてはいけないのだろう。
上忍達は今日の演習を終わらせる。
シカヤはもう興味はないとばかりにさっさと帰る。
シカヤは家に帰ると一直線にあの部屋に向かう。
部屋に入るとシカヤは行きと同じようにシカマルと額をくっつける。

「ただいま、シカマル」
「お帰りなさい、シカヤ。大丈夫だったみたいですね」
「まあな」

目を閉じ開けて離れると、シカヤの答えに軽く笑うシカマル。
シカヤはシカマルの隣で横になる。

「任務まで寝るから、時間になったら起こしてくれ」
「はい、おやすみなさい」

シカマルの言葉を聞くと同時にシカヤは眠りに就く。
そんなシカヤをシカマルは優しい目をして見つめていた。





       


暗部服に着替えたシカマルとシカヤは揃って火影室に向かう。
火影室に窓から二人同時に入る。

「お主等窓から入るなと何度・・・」

半分以上諦めかけている言葉を三代目はそれでも呟く。

「「こっちの方が早い(です)」」

シカマルとシカヤの揃った声に少し頭が痛くなってきた三代目。

・・・・・・ふっ、さすが双子。息もぴったりじゃわい。

三代目が現実逃避をし始めたのを止めるように言葉を出す。

「「三代目、任務はないのか(ですか)」」

またもや声を揃えて言うのに一々驚いていられない。
何せシカマルとシカヤのことは二人が
三歳の頃から知っているからだ。

「今日は二人別々に行ってもらう」

言った途端凄絶な殺気がシカヤから放たれてくる。
明らかに今回の任務について不満で一杯のようだ。
そんな雰囲気を知ってか知らずか
何事もないようにシカマルは巻物に手を伸ばしてシカヤに渡す。
シカヤは不承不承受け取ると中に目を通した後
シカマルとシカヤは同時に巻物を
灰さえも残らないように燃やし尽くす。
シカマルとシカヤはお互い向き合い朝と同じ様に額をくっつけ
一度目を閉じ開けると印も組まずに17、8歳に変化した。

シカマルは腰まである髪を変化前と同じ様に毛先で一つに束ね
右半分を白
左半分を黒で塗りつぶした面を被り
名を『闇夜(あんや)』

シカヤは髪を首の後ろで一つに束ね
右半分を黒
左半分を白で塗りつぶした面を被り
名を『灯火(とうか)』

「それでは行って参れ」
「「御意」」

シカマルとシカヤはそれぞれの任務に向けて
火影室から出て行った。

どんなに近くにいても
どんなに遠くにいても
自分の半身のことがわかる
それはきっと
誰にもわからないだろう
切れない繋がりが
確かに自分達の間に存在するから










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あとがき
双宴 双子祭りに参加させて頂きました
Wシカでございます

これからナルトと絡む予定です
シリーズものになるかと思われます
これから先お付き合いください
よろしくお願いします


隠れし者 管理人:夜那



鹿’S「「ありがとうー(ございます)」」
蒼「本当にありがとーッス 紫架がアホで何ヶ月過ぎて・・・」
紫『本当です・・・』
白「そうですね 本当にサボったり風邪引いたり一人で追い詰められたり(無限)」
紫『ハゥ?! 痛い言葉を・・・ 可愛くないね・・・鹿’Sは・・・ 
  夜那さまのシカマルもシカヤも可愛いのに!! 
  デコ付けてだよ? シカヤはシカマル思いだし!! 火影脅しが入ってるし!!』
鹿’S「「紫架じゃ無理(でしょうね)」」(爽快な笑)
紫『グハッッ・・・ 引き続きお楽しみ下さい・・・因に紫の"貴方の隣にはー"の鹿達です・・・』
蒼「説明遅いつーの では、アホは置いておいて引き続きお楽しみ下さいッスねー」
白「夜那さま 遅くなりまして大変申し訳ないです ですが、最後までキッチリさせますので」
鹿’S「「待ってて下さい(ー)」」

以上、紫架でした・・・(スミマセン キャラコメってやってみたかったんです)←遅